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第33回串本海中フォトコンテスト審査会講評

総評

今回900点近い作品があり、凄く見応えがあったというのが第一印象です。
すべての写真のクオリティーが高く、前回審査した時は約10年前よりも、かなりレベルが上がっていました。良い作品が多くて思ったより審査に時間がかかり、選ぶのに苦労しました。
カメラを持っているダイバーが増えたので、いろんなバリエーションの写真があり、皆さんの物の見方が多様化していてすごく見応えがありました。

コンデジ銅 「暗黒の騎士」

アオウミガメの顔面のポートレートなのですが、なかなかこういう感じの作品は見ないと思って目にとまりました。意図的にアオウミガメの顔を右側からのライティング一灯で陰影とコントラストをかなりつけて表情に憂いを映しこんでいるのだと思います。
右側の目の周辺だけ光が当たって周りが黒く落ち、それがいい作用を生み出してすごく印象的な作品でした。他に同様の写真が無かったというもの大きかったです。

コンデジ銀 「新しいおもちゃみーつけた!」

海の中に落ちてしまった餌木に、ウデフリツノザヤウミウシが乗っている作品です。
構図のバランスがすごく良くて、何の違和感もなくすっと見れる作品です。
海の中に廃棄されてしまった餌木を、おもちゃに見立てて撮影されているのですが、その餌木の上でウミウシが交接しようとしている。海の中には少なからずゴミがあるという現状を表している素晴らしい写真だと思いました。

コンデジ金 「抱擁」

キンチャクガニが交接している写真です。
僕はキンチャクガニ自体が、普通に写真に撮れる環境に居るのをナイトぐらいでしか見たことがありませんでした。しかも、そんなキンチャクガニが交接しているなんて見た事が無かったんで、正直これはすごいと思いました。
このシュチュエーションに出会えたことが、ラッキーでしたねと言うしかないです。
この貴重なシュチュエーションを逃さずいい形で撮れています。
ピントも深く、ライティングもしっかりしていて言う事ないと思います。

一般銅賞 「編隊」

ぱっと見た時から段違いに上手いなと、相当水中写真を撮りこんでいる方なんだろうと思いました。アジの群れと下の方にそのアジを狙うブリの群れが来ていて、構図的にすごくまとまっていながら、海の広がりが気持ちよく伝わってくる作品です。
広々とした中に魚群があり、画面の上の方の魚の動きが結構速くてブレていますが、そのブレもすごくよい加減で写真的にもすごくレベルが高くすばらしい作品だと思います。

一般銀賞 「私・・・こう見えて踏ん張ってます!!」

マクロ写真が多い中でも特に目を引いた作品です。
すごくかわいらしく綺麗にまとまったいい写真です。
その一言につきます。
砂地から生えている小さな海草にアミメハギの幼魚がひっそりと隠れている感じ。踏ん張っていますという事は、海草を咥えてこの場に留まっているのだと思いますが、海草が欠けた所に入り込んでいい感じにまとまっています。
とにかく可愛さで選んだ写真です。

一般金賞「飛行機」

オナガウツボは顔が怖くて迫力があり、被写体としてインパクトのある魚です。
調子よく寄って行くと、割と引っ込んでしまうと思うのですが、よくウツボが出た状態が保たれています。しかも、その上をブリが泳いで行くなんて、なかなかこんなタイミングは無いと思います。よくこのタイミングで落ち着いてこのフレーミングができたと思って感心しました。
若干上の方が寸詰まり感があってグランプリにしようかとも思ったのですが、もう一工夫出来たのではないかということで金賞とさせて頂きました。
この場に立ち会って、クオリティー高く撮影出来たのは素晴らしいと思います。

グランプリ「潮だまりの恋」

タイドプールに生息している、ロウソクギンポの求愛のシーンです。
この後メスが入っている巣穴に、オスが入り込んで産卵行動をします。
この作品でまず惹かれたのは全体的な浅い潮だまりの雰囲気です。
自然光がふんだんに入り込んでいる、明るい感じがすごく良い。顔の黒いオスのロウソクギンポの動きと表情が喜びを表しているようで、見ているこっちがうれしくなってしまうような写真だと思います。
僕が「良い写真だ」と思うのは、このグランプリの作品でいうのであればロウソクギンポ達の喜びが写っている写真だという事です。このように写真が、こちらに何かを語りかけてくるようなものがある。即ちそれが写真の力だと思っていて、そういったものが今回のフォトコンの応募作品の中でこの作品が一番強かったです。素晴らしい瞬間を撮影した美しい写真だと思いました。

ウェブマスター

串本海中フォトコンテストウェブサイトのウェブマスターです。